ベンツは世界一?

メルセデス・ベンツは世界一?  #1
まえがき

懇意にしている友人のひとりに川上さん(仮名)がいる。 ふたり共、"機械好き"のせいか、よく車の話に夢中になる。 (たまたま同じメーカーの車に乗っていることも理由かも知れないが。) 

その川上さんが最近愚痴っぽく話していることがある。 その内容を聞いて私は何故か文章にしてみたいと思った。 そして、川上さんが話してくれた出来事と彼の率直な気持ちを私が代ってまとめてみた。 それが本書である。

川上さんは、自動車運転免許を取得してからマイカーを10台乗り継いできた。 しかし、それらはその当時の日本車の中でいわゆる「売れ筋ナンバーワン・ナンバーツー」のメーカーの車種ではなかった。(そのメーカーの方には申し訳ありません。) つまり、下位のメーカーの車種であったわけで、川上さんに言わせると、下位であるが故に追い着き追い越そうと努力する意識が強く、それが将来の発展性に夢を持たせるメーカーだと考えたからなのだ。 

それがある日突然、輸入車に乗り換えた。それもメルセデスベンツに。 僅かではあるが川上さんにも経済的な余裕もできたし、年齢から考えて車の運転も工ンディングに近づき、そろそろ最終の車に乗り換え、「とことん乗りつぶす」と考えたらしい。 (まだ、そんな歳ではないと思うのだが。)
そこで、どうせなら憧れのベンツしかない、と思ったのだ。 べンツなら長持ちするし、乗っている年数で割ったら決して高くはないと計算した。 なんと言っても世界一レベルの高級車なんだから、ドライブ好きの川上さんを永く楽しませてくれるだろう、と思うのは私だけではないだろう。 しかし、その期待感は無残にも砕かれてしまった。

(つづく)       <はじめに戻る>




メルセデス・ベンツは世界一?  #2

ここからは著者が川上さんに代って「ベンツとの出会い・出来事・その思い」をお話しする。 したがって、以降この章と第二章で"私"というのは川上さん自身のことである。




第一章 真の願い

まずメルセデスベンツって本当に文句のないすばらしい車なのだろうか。 世の中の著名な自動車評論家の先生方は、誉めることはあっても問題点を指摘することはほとんど無いので実体はどうなのだろうか。 唯一、元F1レーサーのS氏がある雑誌で辛口の批評をしていたのが、せめてもの救いである。 日本車から乗り換え、その後七年の間メルセデスベンツ車に乗ってみて感じたことは、一人くらい素直に問題提起するユーザーがいても良いだろうと思ったことである。 そう思うほど、この七年間にいろいろなことがあった。 

(つづく)               <はじめに戻る>



メルセデス・ベンツは世界一?  #3
これから取り上げる事柄は、すべて技術的な問題から生まれた出来事である。 したがって販売ディーラーには商品を販売した道義的責任はあるが、品質についての最終責任者はメーカーであるダイムラー・クライスラー社であると考えている。 サービス業としてのディーラーの対応は何ら申し分ない。

だが誤解して欲しくないのは、私がダイムラー・クライスラー社に恨みを持っているわけでもなければ、メルセデスベンツを嫌いになったということでもない点だ。 その証しに、今でもEクラスを愛用しているのである。 今以上に良い車になって欲しいと願っているだけであり、また,これからメルセデスベンツを購入しようと思っている人が、充分理解し納得して購入することの参考になればと思っているだけだ。 ユーザーからのストレートな意見を素直に吸い上げ、さらに良い車に仕上げてほしいと願うのは私だけではないと思う。 従って、本書はそのようなスタンスで読んでいただきたいと願うと同時に、読むタイミングによっては既に改善されているものもあるので、その点はあらかじめ了解願いたい。
 

出会い

それではベンツとの出会いについて触れてみよう。 私は、十八歳になるとすぐに普通自動車運転免許を取得し、以来約三十五年間に十台(父親の車を借用していた時期を含むと十二台)の自動車を乗り継いできたが、それらは決して当時ベストの日本製乗用車ではなかった。 しかし、まえがきで述べた理由で日本車を乗り継いでいたのである。

このように国産車を愛用していた人間が、あるきっかけで"クルマ"に対して心変わりをし、初めての輸入車に乗り換えた。 それが現在使用中のメルセデス・ベンツEクラスである。 いつかはベンツに乗ってみたい、と思うのは多くの"車好き人間"の願望で私も同じであった。 しかし、高値の華の印象はなかなか拭えず願望で終わると思っていたが、偶然に書店で手にした本(赤池学/金谷年展共著)を読み

 
  (本写真)

メルセデス・ベンツの安全への取り組みや、生活環境との共存への努力などに感銘し購入意欲を増加させた。 また、他の資料から、当初事故が続発したA160への安全へのこだわりが感じられる対応内容を知り、それがさらに購買意欲を後押しした。 

さらには、"丈夫で長持ち"の印象から、永く使用することによって割安となる経済計算も加わった。 そして、それから乗り替えるのにさほど時間は掛からず、衝動買いのような感じでEクラスを購入した。

(つづく)             
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メルセデス・ベンツは世界一?  #4
第二章 初めてのべンツ

しかし、その一方で日本と欧州の自動車に対する文化の違いを見せられ、すべてに於いてトップクラスだと信じていたことが覆され、ある意味で残念に思う部分も発見した。
(以下は、一台目の一九九八年式車についての記述である。 中古車を購入する場合に参考願いたい。)


日本向け装備

日本向けのモデルであるからと言って、中途半端な装置は付けない方が良い。 日本ではあたり前となっているので標準装備にしたのだろうが、カーナビゲーションなどは、当時の国産車に比較してその機能は時代遅れであるし、地図ソフトもCDで内容も古く、まったく評価の対象にはならない。 むしろカーナビは、オプションにしてユーザーの好みで後付けにした方がユーザーフレンドリーだろう。 日本向けにこだわるのであれば、クルーズ・コントロール・レバーとの混同を避ける意味でも、ウインカーレバーを右側に移す方がもっと親切だ。


(インパネ写真98年式)


ITGS

発想は大変すばらしいものだ。 トヨタ・二ッサン・ホンダなどの日本メーカーでも同樣のシステムを持っているが実用性ではどうだろうか。 VICSで充分ではないだろうか。 カーナビを使用するのは後席に鎮座する人ではなく、いわゆるオーナードライバーが主であり、安全運転を考えると自ら運転中に双方向通信はできまい。 
VICSのように片方向通信で交通情報や駐車場情報が時々刻々と流れ、それをドライバ一が一方的に読みとる方が実用性は高い。

反面、広く普及をさせたいのなら、NTTの携帯電話だけに限定せずに、その他の携帯電話も使用できるようにすべきだ。 そうして会員を多く集め、その結果会費も割安になり会員数も相乗的に増加しITGSが発展するものと考える。
本題からは少しずれるが、電話接続に関してITGSのカタログではNTTドコモの携帯電話を接続すればそのまま双方向通信ができるようなイメージで書かれている。しかし、現実にはモデムとハンズフリーキットを購入し、さらに工賃を含め合計6万円以上の追加費用を払って取り付けなければならないことまでは想像できない。 もっとわかり易く説明すべきだ。 99年式後期からはモデム内蔵になった。

ちなみに、私はモデムとハンズフリーキットを取り付け、NTTではなくauの携帯電話を接続して電話機能のみ使用していた。 表面上はNTT専用となっているが、実際にはPDC方式の電話機であれば、auでも使用可能である。 (これはその後auがPDCからcdma0neへ全面的に移行したことで不可となったが。)

エアコンディショナー

上下の吹き出しが独立しているのか否かよくわからず、オートにしていても夏季に足元から冷風が出てきた。 冬場もエンジン冷却水温度が適正値まで上がらないのに送風する為、はじめはクーラーになり足元にも冷風がわずかに吹き出してくるので改良の余地ありと思った。 仮に冷却水温度が上がっていても室温が適正値より上昇すれば夏季と同様に足元から冷風が出ることもあり、オートエアコン付きの日本車では考えられないことだ。(後期型では改善されたようだ。) また、これは個人差があるが吹き出し音が大きく、エアコンを停止した時との違いがあり過ぎる。

遮音

初めて雨天ドライブを経験したときに、違和感を得た。 ドライバーに対する安全を考慮し意図的に設計した車体構造のようだが、ルーフの板厚が薄く雨天時の雨音が大きく感じられる。 せめて車室内天井との間に遮音の為の吸音材を入れるなどして欲しいと思う。 電動サンルーフの有無でも違うのかも。 エアコンの送風音も含め、走行時の静粛性については欧米での受取り方と大きく違うようだ。日本車と比較して決して静かだとは思わない。

ドア開閉表示

ドアが開いているときに、メーターパネル内に警告表示がされると良いのだが。 
ルームランプをそのような設定に切り替えられるが、昼間の後部半ドアの場合は見落としてしまいそうだ。 安全、安全と言うからには、日本車のように半ドア警告灯が必要ではないだろうか。

(つづく)                   <はじめに戻る>




メルセデス・ベンツは世界一?  #5
機能性重視

その他の機能で逆に好感が持てる部分が、間欠ワイパーのスピード・コントロールとオート・ライティングだ。 機能が充実しているから好きなのではなく、簡素な機能だから良いのだ。 日本車のほとんどに、間欠ワイパーの無段階調節機能がついているが、雨の量は刻々と変化しているので、それに合わせて調節していたら運転どころではなくなる。 と言うより不要である。 メルセデスの、3段階プラス停車時減速の機能で十分であり、且つ実用的ではないだろうか。 また、オートライティングが付いていないのもいい。(現行モデルではどちらも標準装備されているが。)今までの経験では、都心部では特に立体交差が多く、その下を通る度にスイッチがOn/Offとなるので、あまり意味がない。

  (ワイパー・ウィンカーレバー写真)


走行バランス

前後の重量配分が良く、カーブでの安定感がある。 「乗り心地と安定性を両立させている」ことを感じる。 安全性を売物にしているメー力一ならではある。 以前から使用している国産FF車と比ベると、FF車では前部が重いためサスペンションも固めで、さらにタイヤ空気圧も高いので「ゴツンゴツン」と不快な突き上げがあった。
また、一時期乗っていたサスペンションを固めにした国産スポーツ車では安定性では勝っていたものの、乗り心地はひどかった。 その相反することをベンツでは両立させている点でさすがだと思った。

シート

もうひとつ良いと感じたものにシートがある。 同乗する家族からも「疲れなくてとても良い」と、シートについての評判が良く、またドライバー自身も座り心地には満足している。 固めのシートにすることにより左右の揺れからの影響を受けにくくすると共に無用な沈み込みをなくすこともできる。 結果として安定性のある疲れないシートとなるのであろう。

  (シ一ト写真)


三種のモデル

最後にモデルの選択だ。予算的にはE240だが、直前まで使用していた国産車と比較すると車体重量が増加する反面エンジン出力が下がるので、かなり重い感じがするのでは、と気になった。(1)予定通りE240、(2)サイズは小さくなるが予算重視でC280、(3)どうしてもエンジン出力に不満なら予算オーバーするがE320を、の三つの選択肢となった。 結局「せっかち」の性分のためか試乗もせずに、早く乗りたい一心でカー雑誌の寸評(前述のように、好きではないが)などを決め手にE240で契約してしまった。 つまり、納車の時がはじめての乗車体験であった訳だが、なんとそれまでの不安を飛ばしてくれた感触を味わい、自分でも驚いてしまった。 重さなど日常の市街地走行では全く感じることはない。

そして、日本車と大きく違うのは価格の差が「安全装置を含めた装備の差」ではなく、ひとことで言えばエンジンサイズとシート(内装)の差でしかないことだ。 2台目3台目ならともかく、ミドルクラスでメルセデス入門をするならE240がお薦めです、と言いたい。 (後期型はエンジンが2.6リッターになりトルクもアップした。)

(つづく)                 <はじめに戻る>




メルセデス・ベンツは世界一?  #6
第三章 ベンツの日記

この章では川上氏(以下、川上)と著者(以卞、小賀)との会話を交えてある。

ある日、ふたりは久しぶりに新宿の居酒屋で近况報告をしていた。 その中で、川上氏が
突然話題を変えた。

川上「なあ、僕の話を聞いてくれよ」
小賀「え? どうしたんだ?」
川上「いやあ、まいったよ。 変な故障が多くてさ」
小賀「一体どんな病気さ?」
川上「達うよ、僕の体の話じゃなくてクルマの故障だよ、今の二台目も通算で七年に
なるんだけど、色々と不具合が出てるんだ。まず、・・・・・・」

その後も、川上氏の話は続いた。 そして、それらの出来事を記録した日記を見せてくれた。 
では、その中を読んでみよう。

川上「これが、その時のことを日記にしたものだ。中を読んでみてくれ」
小賀「う〜ん、じゃあ、ちょっと見させてもらうよ」

その一 ウインドーウォッシャー編

0月0日
数日の間、雨降りが続き、フロントウィンドウが汚れていた。 早速、ウィンドーウォッシャーで拭おうとレバーを押した。 が、しかしウォッシャー液が出てこない。 ボンネットをあけて見るとタンクに水は入っている。そして、ウォッシャー液はエンジンルームの下へ流れ落ちていた。 ノズルがゴミで詰まっているかも知れないと思い、掃除具でノズル穴を清掃した。 しかし、ポンプのモーター音はするがウォッシャー液は出てこない。

ディーラーへ持ち込んで点検してもらった。 原因はホースがノズルから外れていたことによるものだった。 どうやらスプリングの留金具が緩んで外れていたようだ。 ホースを固定してもらって一件落着となった。

  (ウォッシャーノズル写真)

0月0日
朝から霧雨が降り続いている。霧雨は跳ねあげた泥が流れずウィンドーが白っぽくなってしまう。 当然、ウィンドー・ウォッシャーのスイッチを押す。 だが、ウォッシャー液が出ない。 もう一度ディーラーに愛車を持ち込む。 またもやホースが抜けていた。 再度強く締め付けてもらった。
0月0日
その後も二回発生し、なんと今回で五回目だ。 内側のパイプが細すぎてスプリングの締め具が引っかからない。 急にパイプが細くなる筈はないと思うが。 今回は接着剤で固定した。 以後、同様の問題は発生していない。


その二 ドアミラー編

0月0日
エンジンをかけスタートだ、と思ったらドアミラーの角度がよくない。 調整スイッチで直す。 よく見ると、ドアミラー全体が完全に開ききっていないことがわかった。 何度やってもわずか手前で開かず止まってしまう。

ディーラーに持ち込む。結局本体不良で交換となった。 大したことではないと言ってしまえばそれまでだが、本来あるべきことではないので、やはり不良と言わざるを得ない。

それに、国産車の場合は、1回ボタンを押せば最後まで動くワンタッチ式なのに、ベンツの場合は開ききるまで、または閉じきるまで押し続けなければならない。 そんなところに違いが出てくるのだ。
(W210後期モデルは、新しいタイプに変更となったが、相変わらずワンタッチ式ではない。)
   (後期モデル・ドアミラー写真)

その三 パワーウインドー編

0月0日
走行中に車内が騒がしいと感じたのは、リアのウィンドーが原因だった。 自分では閉めたつもりでいたが上部が五センチほど開いていた。 運転席のスイッチを押すと一旦はウィンドーが上るが、閉ったと同時に下がってしまう。 

どうやら、センサーが敏感すぎて過剰反応しているようだ。 その後も同様の異常が時々発生する。特に対策はとっていない。 成りゆき任せである。 後で専門誌で読んだ話だが、リア左のパワーウインドー故障は他でも発生しているらしい。 (リコールには、なっていない)

(つづく)                 <はじめに戻る>




メルセデス・ベンツは世界一?  #7
その四 オーディオ編

0月0日
走行中に突然「ガ―ッ」と大音響が鳴り響いた。 傍らの愛犬が驚いて吠えだした。 AMラジオのスイッチを入れると、とてつもない雑音がスピーカーから発せられる。 一度電源を落として(エンジンを止めて)もう一度オンにすると雑音は止まった。 

0月0日
数ケ月後、ラジオのスイッチをオンにすると、またもや耳が痛くなるほどのすごいノイズ。 ドライブの予定を変更してディーラーに持ち込み、ノイズが再現できるようエンジンを掛けたまま点検を依頼した。 しかし、原因つかめずオーディオ・ユニットをそっくり交換。

一体どうなっているのか、未経験の故障が続く。
 (Audioユ二ット写真)


その五 ステアリング異音編

0月0日

駐車時などにステアリングをきると、キーキーと何かが擦れるような音がする。 気になるのでディーラーで点検を依頼した。 返ってきた答えは、ステアリング・ギア・ボックスの不良とのこと。 普通に街中走行しているくらいで、壊れてしまうのか。 荒れた土地を高速走行しているわけではないのに、良く分からない。
ギア・ボックスをそっくり交換し元に戻った。

(つづく)                     <はじめに戻る>




メルセデス・ベンツは世界一?  #8
その六 エンジン・ストール編

0月0日
今までで最悪の出来事だ。 結末を聞けば、これは決して大げさな表現ではないことが理解できる。

箱根への家族との楽しいドライブも帰路になった。 東名高速上り線の川崎付近を時速百キロ/時で走行していた。 平坦な道なのにアクセルペダルの反応が少し重くなった感じがする。 東京料金所をETCで通過すると、一気に加速するところだが、ますます反応が鈍くなってきた。その後も、一の橋・霞ヶ関・三宅坂と進むほどに工ンジンの回転数が上がらなくなってきた。 

とうとう、工ンジン故障の警告灯が点灯したため、緊急避難帯へ停車し暫く様子を見た。一度イグ二ッションスイッチをオフにし、再度始動すると息を吹きかえし元の鼓動に戻った。 早速パーキングブレーキを解除しスタートさせた。 首都高速五号線に入り中台出ロ付近で、またもやパワーダウン。 でも何とか動きそうだ。 首都高速を出てからも、「エンジンを止めて暫くしてから始動、数キロ走行して路肩停車」を何回も繰り返して少しずつ先へ先へとマイカーを進める。 だが徐々に一回の走行可能距離が短くなってくる。

どうにか自宅の前まで来たが駐車場へ入れるのがこれまた大変。 工ンジンは始動するが十秒程度しか持続しない。 その僅かな間に、数十センチずつ動かしながら車庫入れしなければならず、五メートルほどの距離を十数分も掛けて動かした。
翌日、ディーラーへレッカー移動。

0月0日
ディーラーから故障の原因について連絡があった。排気系統の途中にある排気ガス浄化用触媒装置のセラミックスが砕け、粉末状になって工ンジン・シリンダー内に逆流したというのだ。 工ンジンは回っていても、アクセルペダルを戻した瞬間に負圧が発生し、シリンダー内にその粉末を吸い込んでしまう。 その結果、ピストンの上下によって内壁に無数の擦り傷が発生し、まともな状態ではなくなる。

0月0日
ディーラーの責任者と担当者が説明と謝罪のために我が家を訪れた。 まだ走行距離が九千キロ足らずであったことから、その対応とのアンバランスに怒りを覚え、新車への交換を求めたが拒否された。 結局工ンジンの載せ替えと今回のトラブルの原因になった排ガス浄化装置を交換することになった。 しかし、工ンジンは自動車の心臓部である。 これが無ければ用をなさないのだ。 にもかかわらず、具合の悪いところを取り替えるだけでオシマイとは、ちょっと気持ちが軽すぎるのではないか、と思った。
 (エンジン写真)

0月0日
五日間ほど経って、ディーラーから連絡が入った。 あさって新しい工ンジンがドイツより到着するとのことだ。 そして新旧を入れ替えた後、一週間掛けて調整し納車になる予定である。 すぐさまドイツよりエンジンを空輸するのは流石であるが、あまりにも早いので同様の故障に慣れている(頻発している)のではないかと余計な事を想像してしまう。

0月0日
修理が完了した。早速工ンジンをかけてみる。グォーンと唸る。気のせいか以前のものより吹きあがりが滑らかなように思った。

日記を読み終えるや否や再び話し出した。

小賀「なんか、ものすごいね」
川上「そうだろ、工ンジン丸ごと交換なんて聞いたことないよ」
小賀「ホントだな。人間で言えばさながら心臓移植だね。
  飛行機だったら翼の交換だ。
   つまり、本来の機能を損なっていると言えるな」
川上「だから、ベンツって本当に世界一のクルマなのか?って思っちゃうんだ。
   この続きの話もあるしね」
小賀「えっ?まだあるの?」
川上「そうだよ・'・・・」

(つづく)                <はじめに戻る>
 



メルセデス・ベンツは世界一?  #9
第四章 コンピュータが壊れた


再び川上氏に代って次のトラブルの話をしよう。

それはある日のこと、外出しようと愛車に乗り込み工ンジン・スターター・スイッチを入れた。しかし、「静けさ」のみで工ンジンが回っていない。 もしかするとイモビライザー関連かも知れないと思い、電子キーをスペアに替えて試してみた。 これも全く反応しない。 少し時間をおいてリトライしたがこれもダメ。 連鎖的に運転席に座ったまま、携帯電話にディーラーの番号をインプットしていた。

状況を説明しアドバイスを求めたが、依然として工ンジンルームからの唸り声は聞えない。 結局、入院(?)することになり、救急車(レッカー車)の到着を待った。

数時間後、レッカー車が到着したが、これまた最新装備が仇となった。 イモビライザーに守られて(?)ATのシフトロックが解除できない。 レッカー車は直角の方向でしか駐車できず、一旦駐車場から出して方向転換が必要なのだが、後輪がロックされているため前方に押し出すことができない。仕方なく後部をジャッキアップして後輪をローラーに載せることにした。 尚、ディーラーに到着後はロック解除できたそうだ。 できなかった原因はわからない。

三日後、検査の結果連絡がディーラーからあった。 工ンジンのメイン・コントロール・ユ二ットならびにユ二ット入ロのりレー不良、つまりエンジンの性能を統制するコンピュータの故障である。 
 (コンピュータ写真)


 次回をお楽しみに。 (つづく)          
                             <はじめに戻る>




メルセデス・ベンツは世界一?  #10
第五章 メーカーへの手紙

過日のエンジン交換に加え、またもや主要部のトラブルだ。 いったいどうなっているのか、そんな簡単に壊れるものなのか、憤りを感じながらダイムラークライスラー社へ手紙を書いた。
以下は、その往復五通の内容である。(念の為、個人名は伏せており、内容も一部省略してある。)


(1)【メーカーへ発信】

                                2006年4月16日
ダイムラー・クライスラー日本株式会社
   CRM部 カスタマーデスク  御中

前略 約5年前、車検を機にそれまでのEクラスから新たな期待を込めて2台目のEクラスに乗り換えました。 そして2台通して約7年の間メルセデスベンツに乗っていたわけですが、残念ながら、その7年間には期待を裏切るようなことが多々発生し、最近もある故障(下記F)が発生しました。 ここまで来るととても我慢が出来ず、一筆とらせていただくことに致しました。
 以下は、7年の間に起きたことを列挙したものです。

    @ウィンドウ・ウォッシャーが出ない。 延べ5回発生。
      →原因は洗浄水を送るパイプがはずれていたので取り付け直し。
    Aオーディオから異音(不快を感じるほど大きな甲高いノイズ)が発生。
     →原因不明でオーディオ・ユニット交換。
    Bドアミラーの開閉ができない。
     →原因不明。右ドアミラー全体を交換。
    Cエンジン不調。
     (注: 記録が重複していたことが判明したので後にCは対象から削除。)

    Dリヤ電動カーテンの開閉ができない。
     →原因不明。開閉できたりできなかったり。現在もそのまま。
    Eエンジンが動かない。
     →排気浄化装置内のセラミックス粉がエンジンに逆流し、シリンダーおよびピストンを破損。
       エンジンを丸ごと交換。
    Fエンジンが動かない。
     →原因不明。エンジン・コントロール・ユニットおよびリレー・モジュールを交換。
    Gステアリングから異音発生。
     →ステアリング・ギア・ボックスの不良。 ギア・ボックスを交換。
    Hフォグランプ断線。
    Iストップ・テールランプ断線。延べ3回。
    Jテールランプ・ソケットの緩みで異常サイン点灯。延べ6回。
    Kフロントガラス・ラバーモールの剥がれ。
     →モール交換、再取り付け。
    Lリヤ・左ドア・ウインドウが完全に閉まらない。何度か開閉を繰り返すと直った。

以上が7年間で発生した故障・現象です。   

これらはどのベンツでも発生することなのでしょうか。 私が乗り継いできた国産車では、オルタネーターの故障・交換、エアコン・コンプレッサーの不調・調整くらいでランプの玉切れ交換の経験すらありません。 本当にメルセデスベンツは世界一の車なのでしょうか。 このような状況では、メルセデスベンツの品質を疑わざるを得ません。

電動カーテンのように、特になくても支障がないものはともかく、エンジンが動かなくては車本来の機能を果たしません。 ベンツの世界では、エンジンが動かないのはよくあることで普通のことなのでしょうか。 Eのようにエンジンを丸ごと交換など今まで聞いたことがありません。
以上の状況について、ぜひ貴社のお考えをお聞かせください。 尚、Eの故障があったときにもこちらから意見を述べさせていただきましたが、それに対する貴社からのコメントは今もって戴いておりません。 これについても貴社のカスタマーに対する姿勢が弱いことがうかがえます。
(その時のレターのコピーを同封します。)
それでは、速やかなご回答をお待ちいたしております。
                                     草々

以上の内容の手紙を郵送しました。 その返信については次回で。

(つづく)                   <はじめに戻る>




メルセデス・ベンツは世界一?  #11
次の内容で返信があった。

(2)【メーカーからの返信】

ダイムラー・クライスラー日本株式会社
CRN16100
2006年5月1日
カスタマー・リレーションシップ・マネジメント部

拝復 時下ますますご清祥のこととお慶び申しヒげます。また、平素はメルセデス・ベンツ車をご愛顧賜り厚く御礼申し上げます。
さて、2006年4月16日付にて弊杜カスタマーデスク宛書簡を受領し拝誦致しました。 
弊社にお申し越しのお客様につきましては、現在は全てカスタマー・アシスタンス・センターが対応しておりますので、何卒ご了承賜りますようお願い申し上げます。
先ず以って、担当販売店よりご購入戴きました2台のメルセデス・ベンツE240(1998年登録/2001年登録)におきまして、度重なる車両の不具合によりご迷惑とご心配をお掛けしましたことを衷心よりお詫び中し上げます。
つきましては、今回お申出の御座いました不具合について担当販売店に問合せた結果、L以外につきましては内容が確認でき、それらの原因は誠に遺憾ながら該当部品や製造時の作業において偶発的に不具合が発生したものと思われます。
ご承知の通り、自動車は数万点におよぶ部品から構成され、それぞれの部品は定められた品質管理に基づき生産・供給されておりますが、残念ながらメルセデス・ベンツ車においても工業製品である以上、使用条件に関係なく偶発的に不具合が発生する場合があることは避けられません。
従って、弊社ではこの度のお申出を厳粛に受け止め、ドイツ本社に対し一層の品質管理を要請する所存です。なお、@〜Kにつきましては何れも修理は完了し、走行テストの結果も問題ないことが確認されておりますので、L以外の不具合は解消され安心してお乗り頂けるものと判断しております。
最後になりましたが、2001年12月7日付の書簡につきましては、当時の担当よりご連絡しなかったことで弊社のお客様への対応姿勢についてご意見を頂戴する結果となりましたことは誠に申訳なく、改めてお詫び申し上げると共に、今後も引き続きメルセデス・ベンツ車をご愛顧賜りますよう謹んでお願い申し上げます。              敬具

以上がメーカーからの返信です。
工業製品だから仕方がないとか、修理が完了しているから問題ないとか、
納得のできない回答ですね。 すぐに返事を書きました。 

(つづく)
                           <はじめに戻る>



メルセデス・ベンツは世界一?  #12
納得できないため再度書簡を送付した。

(3)【メーカーへ発信】
                                    2006年5月8日
ダイムラー・クライスラー日本株式会社
 カスタマー・リレーションシップ・マネジメント部

前略 回答をありがとうございます。 早速拝読いたしましたが、残念ながらその内容は私の想像していたものとは掛け離れており落胆の意を隠せません。

 私は、列挙した一連の故障、特にエンジン関係は私の所有車(2台目)に「集中的に発生した」もので、他のメルセデスベンツ車にはほとんど発生していないと信じておりました。 しかしながら貴社の説明では、「工業製品である以上、使用条件に関係なく偶発的に不具合が発生することは避けられない」とあります。

つまり、貴社の回答からは、今回の故障は「他のメルセデスベンツ車でも発生している」とお答えになっていると理解せざるを得ません。 メルセデスベンツの品質はそんなに低いものなのでしょうか? 既に申し上げたように、私が乗り継いできた10台の日本車(I車、H車、M車)ではこのようなトラブルは有りませんでしたので、それらよりも品質の悪いブランドであることを認めておられることになります。

電動ブラインドの不安定な開閉やウインドウ・ウォッシャー・ホースのはずれ程度ならまだしも、走行距離40,000km未満でエンジン・コントロール・コンピューターが、2度(※1回の誤りであることが後日判明)も交換しなければならない事態や、9,000kmで排気浄化装置のセラミックス粉末が逆流してシリンダーを損傷することが他のメルセデスベンツ車でも時折発生しているのですか? また、フォグランプ断線も、バルブ切れではなくプラスチック製の接続部品が熱で溶解したもので、場合によってはショートの危険性もあったと説明を受けています。 ステアリング・ギア・ボックスの交換も僅か25,000kmの走行距離で発生しています。 

これらのことが「工業製品だから避けられない」で良いのでしょうか。 「修理は完了し走行テストの結果も問題ないことが確認されているので不具合は解消され安心して乗っていると判断している」とはどういう意味かよく理解できません。 事の重大性を感じていない貴社の認識の甘さに愕然としております。 

ドイツ本社に対し一層の品質管理を要請すると回答文書には明記されていますが、今回の回答にはドイツ本社の然るべき部署の意見は入っていないと思っております。 しかし、その回答内容はどなたが作られたにせよ、メルセデスベンツという世界的ブランドを代表してお答えになっていると理解しております。 その点を十分ご認識の上、あらためて納得できるご説明がいただけることを望んでおります。
草々

全く割り切れない気持ち、と言うか、情けない気持ちでした。
これに対して返信がありましたが、それは次回で。

(つづく)                   <はじめに戻る>



メルセデス・ベンツは世界一?  #13
前回の当方からの意見に対し次の返信があった。

(4)【メーカーから受信】

ダイムラー・クライスラー日本株式会社
CRM6110
2006年5月19日
カスタマー・リレーションシップ・マネジメント部

拝啓 立夏の侯、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて、この度は2006年5月8日付にて弊社々長宛及び小生宛書簡を頂戴し、命を受け謹んで拝誦致しました。
今回頂戴いたしました2通の書簡は、2006年4月16日付の書簡でお申し越し頂きました件について、2006年5月1日付の弊方からの回答内容にご納得が頂けず、改めて弊社々長宛にお問い合わせ頂いたものと理解しておりますが、弊方からご連絡させて頂いた内容は、弊社を代表した見解であることを何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
メルセデス・ベンツ車へ高いご期待を賜る一方で、度重なる不具合によりご心配とご不便をおかけいたしましたことを、改めてお詫び申し上げますと共に、ご指摘の部品類を含め、より長寿命で同等以上の性能を発揮する技術の開発を、絶やすことなく続けていくよう努めていく所存ですので、何卒ご海容いただきたくお願い申し上げます。
敬具

(手紙 サムネイル写真)

今回も中身の無い回答であった。 川上氏は「クレイマー」と見られるのが
嫌だったが、再度手紙を書かずにはいられなかった。 

(次回につづく)              <はじめに戻る>




メルセデス・ベンツは世界一?  #14
(5)【メーカーへ発信】

                                    2006年5月28日
ダイムラー・クライスラー日本株式会社
 カスタマー・リレーションシップ・マネジメント部 様

前略 回答をありがとうございます。 早速拝読いたしましたが、残念ながら非常に抽象的で具体性に欠けた貴社の回答は全く納得ができません。 

会社を代表して回答されたことは充分承知しております。 5月8日付けの書簡に於いて、その事は文末で述べております。 その事すらご理解いただけないのは本当に残念です。 会社としての回答であると理解しているからこそ経営トップにも同じ内容で聞いていただきたい、と考えるのは間違いでしょうか。

今回も、貴書簡に於ける回答は私の質問に答えているとは思えません。 ついては、私なりに解釈し「メルセデスベンツ車は自動車の心臓部であるエンジンおよびそのコントロールコンピュータ、ならびに私が指摘した故障が日常的に起き得る車である」といたしたいと思います。

 私は、今回の件について世論に問いたいと考えています。 ユーザーとしてこの問題は決して些細なもとのは思っておらず、何らかの方法にて出来るだけ多くの自動車ユーザーにも知っていただくつもりです。 また、貴社の説明内容が充分なものであるのかを他の人々にも判断していただきたいと思っております。 あらかじめご承知おきください。
草々


以上が、川上氏とメーカーとのやり取りの中身ですが、実際の様子を想像できましたでしょうか。
(一部省略) 
川上氏は「ゆすり・たかりの類に受取られたらいやだな」と思い、二回目以降の手紙を送ることについて躊躇し悩んだそうだ。 しかし、何処かの国の政治家の答弁のように具体性に欠ける説明では問題の本質を掴めず、再度問い合わせを出さざるを得なかった。

なんとも煮え切らない消化不良的な結末です。川上氏は自身の手紙でも述べていたように、「世論に問う」ために、このホームページへ託してきました。そして、それを引き受けました。

次回は、最後のまとめの章です。

(つづく)                        <はじめに戻る>



メルセデス・ベンツは世界一?  #15
第六章 まとめ

 この章では、またもや発生したトラブルも含めて著者なりの意見を述べてみたい。

 そもそも、世の車好き人間のほとんどは、メルセデスベンツというブランドを高位にあげている。それはベンツが自動車として確立された最初のブランドであり、且つ独自に開発した数々の新機能を、安全性確保のために惜しげもなく技術公開し、信頼を得ているからだろう。
 当たり前だが、やはり乗物は安全でなければならない。 安全が先行すべきで、その上に居住性や運動性能、デザインなどの価値要素が加えられてゆくのである。ベンツのコンセプトは、まさしくそれである。 だからこそ、ユーザーであるか否かを問わず、ベンツへの思いは高く、その人気・優位性は不動のものとなっている。 と同時に、期待度も高いのである。 
 したがって、川上氏のように、その期待が裏切られた時の反動は強いものがあり、三通の手紙の中にそれが現れている。

 あらためて一連のトラブルを見てみると、ウィンドーウォッシャーのホース脱落などの比較的軽いものと、工ンジン関連のけっして軽くはないものに分けられる。 前者はすでに述べたように、無ければ無いなりにどうにかなる問題である。 
 しかし、後者は本来の目的を果たすためには必要不可欠のものなのだ。 ちょっと古いが、テレビCMで訴える「×××が無いコーヒーなんて」云々と同様で、有るべきものが無いなどということは許しがたいことなのである。 「航空機のエンジンが飛行中に止まったらどうなるのか考えたら」とまでは言わないが、大きなことであることは間違いない。 ましてや、前章で触れたようにメーカーの対応は具体性に欠けるもので、切々と訴える川上氏にとっては辛いものがあったことが伺える。

 あらためて、メーカーの対応を見つめてみると、永い年月の中で成るべくして成った感がある。 昔からベンツは高級車である。 つまり日本のベンツ・カスタマーのほとんどが経済的に恵まれた人々であり、ベンツを所有することに優越感を持っているオーナーであった。 「あなたの地位に相応しい高級車を是非お持ちください」と薦められ購入し所有する。 そう言われて購入した以上、その商品にケチをつける訳にはゆかないし、あれこれ細かい注文するのもプライドが許さない。 結局、もの言わぬ状態がノーマルとなり、メーカーも「だまっていても買ってもらえる」と慣らされてしまったのではないか。 

 しかし近年では、ごく普通の生活レベル(と言っては失礼かもしれないが)の人々が、良いものを求めてベンツを初めとする高級車を購入するようになった。 その車の良さを認め、且つ堪能したいと購入するのである。今までの、"所有することが主旨のオーナー"ではなく、"乗って楽しむユーザー"が増えているのである。 そして、ユーザーだからこそ川上氏のような問題提起も増加をする。 第一章で述べたように、自動車評論家による評論ではユーザーの真の代弁者となっていない部分が多々見受けられる。 

 そろそろ、従来の色を変える時だ。 前章の手紙の中には「本社に品質管理の強化を要請する」との表現があるが、日本法人と本社とのコミュ二ケーションにも問題がありそうだ。 と言うよりは「コミュ二ケーション自体がほとんど無い」のではとも思いたくなる。 

(つづく)           <はじめに戻る>



メルセデス・ベンツは世界一?  #16(最終回)
アメリカの自動車メーカーに勤める友人と話をする機会があり、今回の内容を説明したところ、次のコメントが返ってきた。

「ヨーロッパのメーカーには、アメリカのメーカーにないものを持っているよ。 それは職人気質だ。 問題は、とことん追及するし、個々の技術責任者(マイスター)がイエスと言わない限り先へ進まない。 日本も含めて管理部門にはアメリカ・クライスラーの空気が入り過ぎたかもね。ドイツ本国の技術部門にはそんなことはないと思うが。 

一昔前のアメ車メーカーは、右ハンドルは作らない、車体は大きく燃費は悪い、つまり、カスタマー側に立った対応ができず、それでいて日本はアメ車を輸入しない、買わない、などと文句を言っていた。 買いたいと思わせるものが無かったのだ。 そんな悪い風潮はもう残っていないと思うが、もしかするとまだ一部では残存しているのかも知れないね。 

自動車の世界でアメリカとヨーロッパの違いがはっきり分かるのが自動車レースだ。 アメ車も参加はしているが、メジャーではない。 自動車レース最高峰のF1に至ってはエンジン供給を含め、ヨーロッパと日本で占められている。 それが実態であり、ソフト(サービス)面でも違いが出てくるんじゃないかな。」

友人のコメントは、暗に日本法人とドイツ本国との会話ができていないことを示していると感じた。 会話ができていれば、もう少し具体的なリアクションがあったのではないかと想像するのだ。

 第一章で触れた書物の中に、事故調査チームの存在についての記述がある。 ドイツ本国では、大きな交通事故があると救急車の次に現場に到着するのは警察のパトカーではなく、メルセデス・ベンツの事故調査チームだ、とまで言われている。 人命救助の後、事故原因を追究し、事故の回避のための対策を自社の製品に反映させるためだ。 事故回避が困難であれば、可能な限りドライバーや同乗者の命を守る装置を開発する。 今でこそ普通になっている安全装置をいくつも開発し、それを広く公開してきた。 ドイツ本国のメルセデス・ベンツはそういう会社なのだ。 

だから、「同一車の心臓部が複数回にわたり故障したことを、ドイツ人マイスターが容認する筈はない」と信じつつ、本書を締めくくりたい。

                                        
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コメントをいただきました
このホームページを見た愛媛県の方から、本編#8で述べた
「エンジン・ストール」に関するe-メールをいただきましたので、
ご紹介します。
他でも、同じようなことが発生していたということは、・・・・・・・・・??。

【以下、メール内容】
当方も、まったく同じ現象が発生し、ネットで原因を探しておりましたら
偶然発見しました。
E240 2000年式で、昨年ヤナセで認定中古車で購入です。あいにく、
先月で、保障期間は切れていました。

当方は、高速道路で朝5時にエンジンストール。だんだん、速度が低下し
インターまでもたず、結局、JAFのお世話です。

今日ディーラに行ったら、内視鏡でみたら、ピストンがズタズタと言われて
きました。

とりあえず、代車で新車を貸してくれたので、見積もり待ちです。

HPの情報ありがとうございました。

触媒の故障で、3ヶ月前に交換したばかりですが、その交換が
???という気もします。
【以上】

貴重なご意見を、ありがとうございました。
ほぼ同時期・同モデルなので、この頃の触媒に問題があったのでは、と
考えてしまいます。

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コメントをいただきました- その2
メルセデスベンツのトラブルに関するご意見をHP読者(千葉県)よりいただきました。
以下は、そのメールの抜粋です。

【以下、メール内容】
メルセデスベンツは世界一?を拝読させていただきました。E240(2.6L)2001
年をヤナセ認定中古車から購入いたしました。購入は2003年 走行距離約5000キ
ロで一回目の車検が8ヶ月ほど残っていました。一部川上様の経験した同様のトラブルが
あったのでご連絡します。
 
1.ウオッシャー液が出ない。
 ヤナセでホースをつなげてもらいました。

2.ステアリングボックスから異音が出る。
 点検してもらったところギアボックスに問題があると判明した。しかし異音を気にし
 なければこのまま使用しても問題ないとの事。異音を消すにはステアリングギアボックス
 の交換との事。(初年度登録から3年以上であり、実費との事にて我慢して乗ってい
 る。)修理代を聞いて修理をあきらめました。

3.フォグランプの交換
 片側のフォグランプが点灯しなかったのでバルブ交換をヤナセにお願いしたが、ハー
 ネスが焼けているとの事にて交換した。

4.2008年車検時に触媒が破損しているとの事にて片側1本の排気管を交換しました。
 (走行距離3万キロ以内)ヤナセサービスの話によると破損したセラミックス粉が逆
  流してエンジンシリンダーに入るとエンジン交換になる。早く見つける事ができて良
  かったとの事。しかし部品代160,000円は高い。サービスマンに欠陥ではないかと
  訴えるが欠陥ではないと主張していた。1〜2日位で部品がきました。(触媒部品が在
  庫してある事に疑問があった)2本あるとゆう事は近い将来もう一方も壊れるケース
  があるとサービスマンに説明を頂きました。国土交通省HP・自動車リコール・不都合
  情報
http://www.mlit.go.jp/jidosha/carinf/rcl/defects.html より検索したところベン
  ツの触媒故障の報告が多く驚きました。私も不都合届けをしました。

5.オーディオのCDが一枚も認識しない
 時々CDを数枚認識しない事があった為にヤナセに相談した。返答は雨上がりや湿度
 の高いときに認識しないことがあるとの事????
 そのうちに一枚も認識しなくなってしまった。晴れていても。今はAUX端子にメモ
 リー型ウオークマンを接続して音楽を聴いているので修理する気持ちはありません
【以上】

いやいや参りました。 もっと他にも有りそうですね。
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